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家具を楽しむ。

みなさんが家づくりを考え始めるときの「こうしたいな」というイメージは、いったいどこから生まれてくるのでしょうか? 
インテリア雑誌に載っている「○○風」のように、テイストや様式から入るのももちろんすてきですが、もっと自由に発想して、一つの家具やインテリアから全体のイメージを決める、といった家づくりも楽しそうだと思いませんか。

たとえば、ミッドセンチュリーのモダンな椅子。プロダクト製品ならではのムダを削ぎ落したシンプルなデザインは、未だ多くのファンの心を捉え、時代を超えて愛されつづけています。そんなお気に入りの一脚を家づくりの核に据えてみましょう。この椅子をどこに置こうか、どんな場所で誰とどういう時間を過ごそうかーなどと、椅子を巡る自分の日常の情景を思い描いてみるのです。

生まれた時代背景や歩んできた歴史など、さまざまなストーリーをもつモノたちは、私たちのイマジネーションをかきたて、漠然とした家のイメージにインスピレーションを与え、具体的な方向性を示してくれる格好の指針となるでしょう。

そして、椅子に合わせて、壁や床、建具、照明のデザインや素材、色を選び、空間のつながりを決める。それがどんどん膨らんで、お気に入りの家具を中心に、家全体のイメージが構築されていくー。インテリアからはじまる家づくりは、意外にも、心地良い暮らしをかなえる近道なのかもしれません。

今、あなたが暮らしている家に、あなたのお気に入りの場所はありますか?
本当に落ち着けて心や体が癒される、心の拠り所とも言える場所が。

家をつくる際、私たちはとかく「リビングは10畳以上なくちゃ」とか、「個室は3つは必要ね」といったことにとらわれがちです。でも、ふと立ち止まってみると、家づくりとはそういうものではなくて、自分が本当に心地良いと感じられる場所を、一つでも多くつくり出すことだと思い至るのです。

いくら立派な住まいでも、なぜか落ち着かない、自分の居場所がどこにも見つからない。そんな状況では、毎日を愉しむどころか、体や心の健康を保つことさえ難しくなってしまうでしょう。

自分の居場所を考えることは、心の置き所を考えること。心地良さは安らぎであり、元気の源であり、ときに未来の扉を開くもの。そこにいるだけで気持が落ち着いたり、楽しくワクワクできるようなお気に入りの場所を、ぜひともつくりたいものです。

一生に一度の家づくりだから、完成時には家具も全部コーディネートして完璧にしたい。けれど予算も時間も限られる中、全てのインテリアを揃えるのはとても大変なことでしょう。だからといってとりあえずのモノで間に合わせることは、あまりおすすめできません。納得できないもの、好きとは言えないものには、いつまでたっても愛着がわくことはありませんし、使うたび、目にするたびに、残念な気持が心のどこかにうっすらとシミを残していくのですから。

できることなら、多少値が張ったとしても、本当に自分が気に入ったものを手にしたい。とくに肌に直接触れる家具や寝具、毎日使うキッチングッズなどは、納得できるいい品を。たとえばとっておきのコーヒーメーカーでコーヒーを淹れ、お気に入りのマグカップで飲む。そんなちょっとした日常の贅沢が、少しずつ少しずつ積み重ねられて、しあわせは紡がれていくのだと思います。

家づくりには時間をかけることも大切です。完成時が100%でなくてもいい、というよりむしろ、住みながらつくっていくものなのかもしれません。今よりも、よりよくしようと考えて過程を楽しむこと。そんな心のゆとりを持ち続けることも必要です。

これからは、いいものを長く大切に使って、省エネでエコに暮らす時代です。それは家具や家でも同じこと。本当に気に入ったものを、手入れをしながら大切に使うことで、次の代、そのまた次の代へと受け継いでいくーーそんな謙虚で、シンプルで、美しい暮らし方が今、求められているのです。

たとえば、家族が食卓を囲む場面を想像してみてください。
お父さん、お母さん、おばあちゃん、おじいちゃん、そして子どもたちが食卓につく。もし、そこにいるはずの誰かが不在だったとしても、空の椅子は主が帰るのを静かに待ち、その人の居場所として存在しつづけるーそんな風に思えるほど、人と家具との関係は密接につながっています。

人の暮らしにはインテリアや家具が不可欠です。インテリアは、家と人、そして人と人とを無意識につないでいるもの。どんなに大きな家であっても、家具がなくてはただの箱。体育館のように広いだけで、人との間になにも介在しない堅くて冷たい空間では、人は休むことはもちろん、くつろぐことすらできないのです。

お気に入りのインテリアは、毎日に喜びや安らぎを与えてくれる、いえ、それ以上に、暮らしそのものを支えてくれているのです。

あなたにとってそれが特別な存在であるならば、価格が高いか安いか、有名ブランドか否か、といったことは問題ではありません。はっとした瞬間に心を奪われるような、すてきなモノとの出会いから、本当に心地良い暮らしの在り方を考えてみませんか?
きっと今までにない新しいアイデアやヒントが見つかるはずです。